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2021.6.14

接待交際費として損金に算入できるものとは?

 今回は経営者の方から質問が多い接待交際費に関して解説いたします。

接待交際費とは?

 交際費等とは、交際費・接待費・機密費その他の費用で、法人が、その得意先、仕入先その他事業に関係のある者等に対する接待、供応、慰安、贈答その他これらに類する行為のために支出するものを言います。ただし、下記の費用は交際費等から除かれます。

  1. 専ら従業員の慰安のために行われる運動会・演芸会・旅行 等に通常要する費用
  2. 飲食その他これに類する行為(以下「飲食等」といいます。)のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)であって、その支出する金額を飲食等に参加した者の数で割って計算した金額が5,000円以下である費用
  3. カレンダー、手帳、扇子、うちわ、手ぬぐいその他これらに類する物品を贈与するために通常要する費用
  4. 会議に関連して、茶菓、弁当その他これらに類する飲食物を供与するために通常要する費用
  5. 新聞、雑誌等の出版物又は放送番組を編集するために行われる座談会その他記事の収集のために、又は放送のための取材に通常要する費用

(注) 上記2.の規定は、飲食等の年月日・飲食等に参加した得意先等に関する情報(氏名又は名称及びその関係)・飲食等に参加した者の数・飲食店の名称及び所在地・その他参考となるべき事項を記載した書類を保存している場合に限り適用されます。

接待交際費に該当するか否かの事例

接待交際費に該当する費用

  • 取引先を飲食店で接待した費用で参加者一人当たりの支出が5,000円超のもの
  • 上記の接待を行うために支出したタクシー代
  • 取引先に送ったお中元やお歳暮の費用
  • 取引先に対する慶弔費
  • 取引先を観劇に招待するための費用
  • 株主優待券の発行・送付に係る費用(株主も事業に関係のある者に含まれる)

接待交際費に該当しない費用

  • 取引先を飲食店で接待した費用で参加者一人当たりの支出が5,000円以下のもの
  • 取引先からの接待を受けるために支出するタクシー代(交際費とは接待をするための支出であるため、接待を受ける側が支出するタクシー代は交際費に該当しません)
  • 取引先に配ったカレンダーや団扇等の費用で通常要すると認められるもの
  • 会議のための昼食代で一人当たりの支出が5,000円超のもので通常要すると認められるもの(会議に関連する飲食費は5,000円基準ではなく、通常要するか否かが問題となる)

接待交際費として損金に算入できる金額

 まず、損金に算入するとは費用として認められることと同じ意味です。(法人税法では費用を損金と呼びます。)

 結論から言えば原則として、接待交際費に該当した場合には損金に算入できません。ただし、下記に該当する場合には一定の金額を限度として損金に算入することを認めています。

期末資本金が1億円以下である法人(ただし、期末資本金5億円以上の法人による完全支配関係がある場合を除く)

  1. 800万円に当該事業年度の月数を乗じ、これを12で除して計算した金額を超える部分の金額は損金の額に算入しない

  2. 交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)の50%に相当する金額を超える部分の金額は損金の額に算入しない

※上記のいずれかのうち有利な方を選択できます。(2.の接待飲食費が年間1,600万円を超える場合には2.の方が有利です。)

期末資本金が1億円を超える法人(100億円を超える法人を除く)

  1. 交際費等の額のうち、飲食その他これに類する行為のために要する費用(専らその法人の役員若しくは従業員又はこれらの親族に対する接待等のために支出するものを除きます。)の50%に相当する金額を超える部分の金額は損金の額に算入しない

まとめ

 今回は接待交際費に関して簡単に解説を行いましたが、ズバリ接待交際費として損金に算入できるものは原則としてありません。ただし、中小零細企業が接待交際費を支出した場合には特別に年間800万円(事業年度が12ヶ月の場合)まで損金にできるとの認識で差支えないと思います(接待飲食費が年間1,600万以上支出する場合は別ですが)。また、接待交際費に関して実は結構奥が深いので定期的に記事にして解説していきたいと思います。