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2021.12.29

法定調書の提出範囲と注意点

 北九州・下関で税理士事務所を開業しております税理士の得丸です。今回は法定調書の作成に関しまして、提出範囲とその注意点に関して解説いたします。

法定調書の提出範囲

 法定調書の提出範囲は下記の表のとおりです。すべて税務署に対して提出するものです。

区分 提出範囲 法人含む
給与所得の源泉徴収票 【年末調整をしたもの】
(1) 法人の役員(現に役員をしていなくても、その年中に役員であった者を含みます。)については、その年中の給与等の支払金額が150万円を超えるもの。なお役員には、相談役、顧問その他これらに類する方が含まれます。
(2) 弁護士、司法書士、税理士等については、その年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの
(3) 上記(1)(2)以外の者については、その年中の給与等の支払金額が500万円を超えるもの

【年末調整しなかったもの】
(1) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した方で、その年中に退職した方や、災害により被害を受けたため給与所得に対する所得税及び復興特別所得税の源泉徴収の猶予を受けた方については、その年中の給与等の支払金額が250万円を超えるもの(ただし、法人の役員については、50万円を超えるもの)
(2) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出した方で、その年中の主たる給与等の金額が2,000万円を超えるため、年末調整をしなかったもの
(3) 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出しなかった方(給与所得の源泉徴収税額表の月額表又は日額表の乙欄又は丙欄の適用者)については、その年中の給与等の支払金額が50万円を超えるもの
退職所得の源泉徴収票 法人の役員(税務署に提出する必要があるのは法人の役員のみですが、源泉徴収票の作成はすべての方について必要です。)
報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書 (1) 外交員、集金人、電力量計の検針人及びプロボクサー等の報酬・料金、バー、キャバレー等のホステス等の報酬・料金、広告宣伝のための賞金については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
(2) 馬主に支払う競馬の賞金については、その年中の1回の支払賞金額が75万円を超えるものの支払を受けた者に係るその年中の全ての支払金額
(3) プロ野球の選手などに支払う報酬、契約金については、その年中の同一人に対する支払金額の合計額が5万円を超えるもの
(4) 弁護士や税理士等に対する報酬、作家や画家に対する原稿料や画料、講演料等については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が5万円を超えるもの
(5) 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬については、同一人に対するその年中の支払金額の合計額が50万円を超えるもの
不動産の使用料等(家賃、賃貸料、更新料、権利金、名義書換料)の支払調書 同一人に対するその年中の支払金額の合計が15万円を超えるもの
法人は権利金、更新料等のみ
不動産等の譲受けの対価の支払調書 同一人に対するその年中の支払金額の合計が100万円を超えるもの
不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書 同一人に対するその年中の支払金額の合計が15万円を超えるもの

 給与所得の源泉徴収票に関しましては、税務署に対して提出するものですが、似た書類で給与支払報告書及びその総括表があり、これは市区町村に提出する必要があります。この給与支払報告書等はすべての従業員分を提出する必要がありますので注意が必要です。(ただし、退職者に関しましては年間の支払額が30万円以下の場合には提出が不要です。地方税法317条の6第3項)

個人の地主や士業等に対する支払調書の発行義務

 実務に携わっている方の中には、不動産の使用料等の支払調書であったり報酬・料金の支払調書を地主や士業の方にも送付していることがあると思います。ただし、税務署に対する送付と違い地主や士業に対しては必ずしも支払調書を送付する必要はありません。

 ですので、希望する地主さん等には親切心として送付したほうが良いですが、そうでない方に対してはわざわざ送付する必要はありません。

マイナンバーの記載義務

 よく「地主さんが教えてくれなくてマイナンバーは記載しなくても大丈夫ですか?」との質問を受けますが、原則として法定調書へのマイナンバー又は法人番号の記載は義務となっております。ただし、罰則規定は設けられていないため(番号制度概要に関するFAQ2-3-3参照)記載がされていないことによって不利益が生じることはありません。

 ただし、義務ではありますのでマイナンバーの情報を共有してもらう努力と共有いただけなかった旨の記録はしっかりと残しておくべきでしょう。なお、法人番号に関しましてはネットで簡単に検索が可能ですので漏れなく記載しましょう。

まとめ

 本日は法定調書の提出範囲と注意点に関して解説を行いましたが、各調書の記載方法等は毎年国税庁で手引きを作成しているためその手引きを確認しながら作成すれば問題ないかと思います。手引きでは十分でない箇所があれば解説記事を作成しようと思います。