融資の部屋

2021.3.29

日本政策金融公庫-新創業融資~その③~

 今回は、日本政策金融公庫の創業融資制度で必要となる創業計画書の記載方法について解説していきます。

創業計画書の記載方法

1.創業の動機

 記載する欄が4行程度ですのでスペースが限られますが、これまでに得た経験、知識、人脈等を絡めて創業動機を記載されることをおすすめします。特に第三者が見たときに説得力がある創業動機になっているかはよく確認する必要があります。(思い付きではなく、計画性が感じ取れるように記載しましょう。)

2.経営者の略歴等

 この項目では、これまでの経験をアピールできますので上記の創業の動機と関連性が強い略歴に関しては詳しく記載しましょう。(1.創業の動機と2.経営者の略歴等で、どんな経験・知識を持った人が、なぜ創業するのかが第三者から見てもイメージできれば良いです。)

3.取扱・商品サービス

 この項目に関しては下記の区分にしたがって解説いたします。

取扱商品・サービスの内容

 形式的に商品・サービスの種類、単価、シェアに関して記載します。

セールスポイント

 ここでは、自社の強みに関して記載します。この強みに関してはしっかり記載しましょう。記載スペースが足りない場合には別紙を用意するなどしてスペースに収めることよりも伝えることを重視すべきです。

販売ターゲット・販売戦略

 販売先のメインターゲットを記載しますが、できれば販売戦略(どうやって集客するのか)についても記載しましょう。

競合・市場など企業を取り巻く状況

 競合・市場環境に関しては主観的な情報のみでなく、できれば統計情報や自身で調査した情報を記載できると良いです。(例えば、飲食店開業予定の方であればお店の前の平日の通行量や休日の通行量を調査する等。)

4.取引先・取引関係等

 主要な販売先、仕入先、外注先について記載します。販売先、仕入先等が大手企業である場合にはプラスの評価がされる場合があります。(ただし、だからといってシェアを偽るなどは絶対にしてはいけません。)

5.従業員

 事業計画と整合性のある従業員数を記載しましょう。

6.お借入れの状況

 この借入の状況に関しては、漏れなく記載しましょう。公庫では信用情報に関して必ず確認を行いますので、嘘は必ずばれます。また、意図的ではなく記載が漏れてしまった場合でも審査担当者は意図的なのか単純なミスなのかを判断できませんので、心象を悪くします。

7.必要な資金と調達

 開業に際して必要な資金とその調達方法について記載します。必要な資金は設備資金と運転資金に分かれており、設備資金については見積もりが必要になります。また、運転資金に関してはおおよそ、月商の3ヶ月程度となります。

 調達方法に関して、基本的に自己資金の欄には必要な資金の合計の10分の1以上記載する必要があります。なお、必要な資金と調達方法の合計金額は必ず一致させる必要があります。

8.事業の見通し(月平均)

 事業が成功するかを判断するために重要な項目となります。特に数字の根拠に関しては詳細に記載しましょう。できれば、専門家のアドバイスが得られれば良いですがそうでない場合にはよく見返して、数字の整合性がとれていることを何度も確認する必要があります。

9.自由記述欄

 事業を行う上での悩みや、欲しいアドバイスについて記載します。

まとめ

 今回は創業計画書の記載方法に関して解説しましたが、個人的にはこの創業計画書とは別に自身の事業計画書を作成しておく必要があると考えます。キッチリとした事業計画書ではなくても、自身の事業を成功させるために作成することをおすすめします。そして、その事業計画書をもとに創業融資に必要な創業計画書を作成すると内容がしっかりした創業計画書が作成しやすいです。

 また、専門家の支援を受けていない場合には創業計画書を友人や親族に一度見てもらって意見を求めると良いです。(もちろん、専門家ではないので詳細な指摘はできませんが、創業の動機と経営者の略歴によって創業者の熱意が伝わるかなどに関してはチェックできます。)