融資の部屋

2021.5.10

銀行の種類とその特徴

 今回は、中小零細企業が取引すべき銀行の種類とその特徴に関して解説いたします。

銀行の種類

メガバンク

 銀行と言えば真っ先に思いつくのは、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行などのメガバンクではないでしょうか。個人口座(事業とは関係のない)を開設されている方もいらっしゃると思います。

地方銀行

 特定の地方に根差して多くの店舗を展開して融資支援を行っている銀行です。ちなみに私の住んでいる地域では山口銀行や西京銀行がそれにあたります。

信用金庫・信用組合

 厳密に言えば信用金庫や信用組合は銀行ではありません。ただし、業務はほぼ同じです。銀行との違いは、銀行は営利を目的とした法人ですが、信用金庫・信用組合は非営利活動法人であり主要な目的は地域振興です。また、地域振興を目的としていることから信用金庫・信用組合には明確な活動エリアが定められています。

政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金)

 最後は政府系金融機関です。日本政策金融公庫は創業融資でお世話になる方も多いと思われますが、実はもう一つの政府系金融機関として商工中金(正式名称は商工組合中央金庫)があります。

銀行の特徴

メガバンク

 主に大企業が取引対象であるため中小零細企業がメインバンクとして積極的に取引するのは難しいでしょう。明確な売上で区切られているわけではありませんが、売上高が10億円を超える規模になってから考えるべきでしょう。

地方銀行

 創業当初から融資してくれる可能性があります。基本的には保証付融資になるかと思われますが、ゆくゆくはプロパー融資の可能性もあるため、創業当初から積極的に付き合っていきたい金融機関となります。

※保証付融資とは、仮に貸倒が発生した場合に銀行が2割の損失を負担し残りの8割(負担割合は異なることがあります。)を信用保証協会が負担する融資です。(融資を受けた者の返済が免除されるわけではありません。)

※プロパー融資とは、仮に貸倒が発生した場合に銀行がすべての損失を負担する融資です。ですので、同じ地方銀行からの融資であっても保証付融資の方が借りやすくプロパー融資は審査が厳しく保証付融資よりはハードルが高いです。

信用金庫・信用組合

 こちらも創業当初から融資してくれる可能性があります。地方銀行と同じく保証付融資になるかと思われます。地方銀行との違いは信用金庫・信用組合が地域振興を目的としていることから融資の審査に関しては営利を目的としている地方銀行よりもやや優しく、事業の成果だけでなく経営者の人柄や事業計画に関してもしっかり評価してくれる可能性があります。(ただし、事業の成果がまったく出ていない場合には厳しいですし、一概には言えませんが、利息は地方銀行よりも高いことが多いです。)

政府系金融機関(日本政策金融公庫・商工中金)

 商工中金に関しては、売上高が数億円を超えてからの取引が多いですので、ここでは日本政策金融公庫の特徴に関してのみ解説します。

 創業融資を考えると真っ先に候補に挙がるのが日本政策金融公庫の新創業融資制度です。創業初期に無担保・無保証で融資を受けられる機会は多くはないですので是非検討したいです。

 ちなみに、日本政策金融公庫で口座を開設することはできません。(お金を貸すことが専門です)ですので、日本政策金融公庫で融資を受けた場合には指定口座に入金があります。ここで注意が必要なのは(特に個人事業主の方)既に口座を開設しているメガバンクの口座に着金してしまうことです。

 なぜかと言うと、前述の通り創業当初にメガバンクとの取引は期待できないためメガバンクの口座に着金するメリットはありません。ですので、日本政策金融公庫からの融資の振込口座として最寄りの信用金庫や地方銀行の口座を開設してその口座に着金することをおすすめします。

 ただし、信用金庫にて口座を開設する場合において早期に本店を移転する予定がある場合などは注意が必要です。信用金庫は営業エリアが決められているため、移転先では営業対象外になる可能性があります。

まとめ

 今回は銀行の種類とその特徴に関して解説いたしました。個人的にもっともおすすめのパターンは、まずは、日本政策金融公庫で融資を受け、その融資額を最寄りの信用金庫に着金し信用金庫との関係を築きつつ事業の拡大状況にあわせて地方銀行とも関係を築くパターンです。

 事業を効率よく拡大させるためには銀行との関係を築くことが非常に重要になります。もちろん、外部の専門家の力を借りることも大事ですが、経営者としては融資に関係する知識は身に着けておいて損はないです。